第7回更新❗【哲学ラジオ】ソクラテスの死を考えなおす——思想編

2023.03.10第5回更新
2023.03.21第6回更新
2023.05.15第7回更新

■哲学ラジオセカンドシーズン

これまでの「歴史&政治編」では 、なぜソクラテスが死刑宣告を受けるに至ったのかについて考えてきました。そのために①ソクラテスに対するアテナイの一般市民のイメージ、②裁判時のソクラテスの振舞い、③当時の歴史的背景、の3点から考察してきましたが、まだ最大の謎が残っています。それは、「ソクラテスはなぜ死を平然と受け入れることができたのか?」という謎です。 この謎に迫るべく、もっとも有名なソクラテスの弟子であるプラトンの著作『パイドン』を主な手がかりにソクラテスの死に対する考え方を探ってゆきます。

知れば知るほど奥が深い哲学の世界をいっしょにのぞいてみましょう!


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よろしくお願いいたします。


第1回「ソクラテスの死の理解へ向けて」

プラトンが描いたソクラテスははたして本物のソクラテスだったのか?著作のタイトルにもなっているパイドンとはどんな人物だったのか?プラトンが後世に与えた影響とはどんなものだったのか?

0:00〜 OP
3:00〜 『パイドン』——プラトンの見たソクラテスの死
10:08〜 最初に読むべきプラトンの本といえば?
14:37〜 『パイドン』という題に込められた意味は?


第2回「死の練習としての哲学」

哲学とは死の練習である――プラトンの著作『パイドン』でソクラテスが語る言葉です。ソクラテスが生きた古代ギリシャにおいて死はどのように捉えられていたのか、『パイドン』を読み解きつつ考察し、ソクラテスが死刑を平然と受け入れた謎に迫ってゆきます。
あわせて、古代ギリシャで哲学がもっていた宗教的側面や東洋の宗教との比較文化的な考察などにも話題を展開してゆきます。

0:00〜 死とは魂の肉体からの分離であり、哲学とは死の練習である
5:30〜 生前の行いと死後の生/古代ギリシャと仏教?
10:30 〜 古代ギリシャと東洋&日本/ヘーゲルと仏教、京都学派?


第3回「ソクラテスは自殺を肯定する?」

哲学とは、死の練習である——プラトンの著作『パイドン』でソクラテスが語ったとされるこの言葉は、一見、哲学が死を肯定的に捉えているかのようにみえます。ではソクラテスは、自殺という事態も肯定的に捉えていたのでしょうか?『パイドン』におけるソクラテスの語りやクセノポンの『ソクラテスの弁明』から、ソクラテスが自殺や自身の死刑についてどのような態度をとっていたのかを読み解きます。

0:00〜 ソクラテスは死や自殺を肯定していたのか?
2:38〜 死刑を受け入れることは神の使命に従うことだった?


第4回「イデア論への助走」

肉体は滅んでも、肉体と分離した魂そのものは不死である――『パイドン』で、不滅のものとして捉えられている「魂」は、「イデア」なるものと関連付けられて考察されます。
プラトン哲学の中心概念である「イデア」とは何か?この世で我々が感覚するものは「ありかつあらぬもの」?「イデア」は「真実の存在」?
『パイドン』におけるイデア論と魂に関する議論を読み解きつつ、「美」のイデアについての考察にも展開してゆきます。

0:00〜 魂とイデア
1:37〜 ありかつあらぬものとイデア
3:36〜 イデアと哲学
5:08〜 イデアと現実世界
8:36〜 さまざまなイデア論?


第5回「魂の不死と想起説 その1」

肉体は滅びるが、魂は滅びることはない――思考を通じて魂そのものに到達しようと訓練を続けてきたソクラテスにとって、死はどのようなものだったのでしょうか。プラトンは、ソクラテスにとって、死は自らの魂が肉体から離れ自由になることができる契機であり、また魂そのものになることによって不死不滅に至る契機だったと捉えました。
魂はいかにして不滅たりうるのか?その証明の過程を、『パイドン』や『メノン』の読解によって、「人は自分の知らないものをどうやったら学ぶことができるか」という疑問に対する考察などを経由しつつ確認してゆきます。

0:00〜 ソクラテスの死とイデア
2:22〜 想起説による魂の不死の証明——人はいかにして学ぶことができるのか
7:31〜 学ぶとは想起することである
9:24〜 想起説と魂の不死
13:03〜 イデア論の力


第6回「魂の不死と想起説 その2」

前回に引き続き想起説と魂の不死の関係について見ていきます。 あらゆる知をもつ魂は神的なもの?古代ギリシャにも地獄はあった?哲学者は死を恐れない?

0:00〜 想起説と魂の不死の関係
3:47〜 古代ギリシャにおける地獄思想
5:51〜 哲学者の生と死


第7回「魂への配慮と哲学の誕生」

魂の不死不滅を「証明」する――『パイドン』において、この「証明」という言葉は、現在の私たちが思い浮かべるような数学的証明ではなく、「信じること」や「信仰」を意味する「ピスティス」という言葉で表現されていました。死はそもそも人間にとって本質的に不可知な事象ですが、それについて議論することにはどのような価値があるのでしょうか。
ソクラテスが提示した「無知の知」という考え方に注目しつつ、死に関する言論を考察します。不滅の魂に配慮すること、まさにここにこそ「哲学」という営みが誕生した契機を見出すことができるでしょう。

0:00〜 不死にして不滅の魂
1:51〜 魂の不死の「証明」とは何か
5:17〜 死について何も知らないソクラテス〜「無知の知」
10:41〜 魂への配慮と哲学の誕生


第8回「無知の知 その1」

ソクラテスの思想をあらわすものとして名高い「無知の知」。この有名な思想について、ここで考えてみます。

プラトンの『ソクラテスの弁明』では、ソクラテスの友人であり信奉者でもあったカイレポンが、「ソクラテス以上に知恵のある者はいない」というお告げをアポロン神殿の巫女から得たことが語られています。このお告げを聞いたソクラテスは、それをどのように理解し、そしてどのような行動に出たのか。知を意味するギリシア語「ソピアー」の語源学考察なども交えて、議論してゆきます。

0:00〜 哲学者にふさわしい態度
0:52〜 デルポイの神託「ソクラテス以上に知恵のある者はいない」
5:32〜 ソクラテスがお告げを受けた時期
11:15〜 知っていること/知らないこと
13:44〜 知恵と技術、ソピアーの意味


第9回「無知の知 その2」

デルポイにあるアポロン神殿の巫女が語った「ソクラテス以上に知恵のある者はいない」というお告げの言葉。ソクラテスはその言葉が意味するところを理解するため、市井の知者たちとの議論を交わします。その際に彼がとったのが、「エレンコス(吟味)」と呼ばれる対話のスタイルです。

エレンコスはいかに行われたか?なぜソクラテスは、エレンコスを重視したのか?その哲学的な価値とは?『ラケス』で描かれる「勇気」についての対話をもとにソクラテスの哲学的営みの具体的な相に焦点を当てていきます。

0:00〜 ソクラテスが行ったエレンコス(吟味)
1:46〜 エレンコスの四段階
4:29〜 『ラケス』におけるエレンコスの第1段階
7:36〜 『ラケス』におけるエレンコスの第2段階
15:37〜 『ラケス』におけるエレンコスの第3段階/第4段階
17:37〜 対話相手のさまざまなリアクション
19:10〜 ソクラテスによるデルポイのお告げの理解
24:52〜 「無知の知」は「無知の知」じゃない?27:24〜 日本におけるソクラテスの受容


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出演:栗山はるな/土岐悠太/渡辺洋平
構成:土岐悠太
Twitter:哲学ラジオ(@tetsugaku_radio

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